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公益法人の外部理事・監事の義務・責任と求められる役割とは
  
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公益法人の外部理事・監事の義務・責任と求められる役割とは

2025年4月に施行される「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(本記事では「公益法人法」と呼びます)の改正に伴い、公益法人は外部理事・監事を設置することが義務付けられます。

そこで、本記事では外部理事・外部監事が安心して活躍できる環境の整え方をはじめ、求められる義務と責任、安心して職務に専念するための「役員賠償責任保険」などを解説します。

これから外部理事や監事を迎え入れる予定の公益法人の担当者様のお役に立てば幸いです。

実際のスクロールの挙動は、プレビュー/公開ページでご確認ください
本記事は、公益法人、一般社団・財団法人の監事・顧問を数多く務める、シェアコモン200の相談顧問である弁護士、梅本寛人先生よる監修を受けています。

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公益法人の外部理事・監事の義務・責任と求められる役割とは

目次

改正公益法人法に伴う外部理事・外部監事設置が義務化
 外部理事・監事の設置義務の概要

外部理事・外部監事が安心して活躍できる環境を整えるために
 1. 役割と責任範囲を明確にする
 2. 情報提供を心掛ける
 3. 法的リスクを軽減する

外部理事・外部監事に求められる義務と責任

外部理事・外部監事に求められる役割

外部理事・外部監事が負う損害賠償責任について
 訴訟を招くキッカケの例

外部理事・監事が安心して職務に専念するための「役員賠償責任保険」
 役員賠償責任保険とは何か

役員賠償責任保険のお役立ち情報を提供中
 1. 役員賠償責任保険Q&A
 2. 役員賠償責任保険が必要な法人・不要な法人
 資料のダウンロード方法

改正公益法人法に伴う外部理事・外部監事設置が義務化

2025年4月に施行される「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」の改正(本記事では改正公益法人法と呼びます)により、公益法人は外部理事・監事を設置することが義務付けられます。

外部理事・監事の設置義務の概要

項目・枠線付き(スマホ横スクロール) はタブレット以上のサイズでのみ編集可能です
(実際の公開ページではタブレットサイズ以下で横スクロールが表示されます)
外部理事
  • 理事のうち少なくとも1名を外部理事とする必要がある。
  • 外部理事は法人やその子法人の業務執行に関与していない者でなければならない。
  ただし、外部理事の設置については小規模法人は対象外※
外部監事
  • 全ての公益法人は少なくとも1名の外部監事を設置する必要がある。
  • 外部監事も法人内部での業務執行に関与していない者が対象となる。
見出し ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。

※小規模法人(損益計算書の収益の額が3,000万円未満、かつ費用及び損失の額が3,000万円未満の法人。改正公益法人法施行令7条)については、事務的な負担を踏まえ、外部理事の設置義務がありません(適用除外)。

この適用除外に関する改正公益法人法施行令も2025年4月1日から施行され、施行日以降に作成される損益計算書上の上記各額が除外基準を超えることが判明したときは、あらかじめ社員総会等において当該計算書等の承認に併せて外部理事の設置及び選任をしておくなどの対応が求められます。

なお、改正公益法人法の施行後であっても、外部理事および監事の選任は、現任の理事・監事全員[1] の任期が終わるとき以降に行えば足ります。

現任の理事・監事の任期満了以降も、外部理事及び外部監事を設置しないときは、公益認定基準を充たしていないこととなり、行政庁による監督対象(最も重い場合は公益認定取消し)となるため注意が必要です。
外部理事・監事に就任してもらうには、外部理事・監事候補の方が安心して就任できる体制を整えることが重要です。

次のパートより、外部理事・監事が担う責任や義務を整理するとともに、安心して就任できる準備について解説します。

外部理事・外部監事が安心して活躍できる環境を整えるために

外部から迎え入れる役員にとっての不安や懸念を払拭し、安心して職務を遂行してもらうには、この3つの要素が重要です

1. 役割と責任範囲を明確にする

外部理事や外部監事が安心して公益法人に就任するには、法人側が求めたいことを以下のように正確に伝える必要があります。

  • 公益法人の役員として求められる法的義務・責任(善管注意義務、忠実義務)の説明
  • 理事会や監査の運営方法の概要
  • 外部役員に期待する具体的な貢献例(例:財務状況の評価、リスク管理の助言)

2. 情報提供を心掛ける

外部から来る役員は、法人の内部事情や業界の詳細を事前に知ることが難しい場合があります。
そのため、法人側が積極的に以下のような情報提供を行うことが重要になります。

  • 法人の現状説明: 財務状況、事業計画や進捗、必要な内部規程などを説明します。
  • ガバナンス体制の詳細: 理事会の運営方法や意思決定プロセスを共有し、参加しやすい環境を整えます。
  • 研修の実施: 公益法人法やガバナンスの基礎、法人特有の課題などを学べる研修を提供します。

3. 法的リスクを軽減する

外部理事や監事が懸念する大きな要因の一つが、損害賠償責任を負うリスクです。

この不安を取り除くため、法人側が法的リスクを軽減する取り組みを行う必要があります。

  • 役員賠償責任保険の導入: 万が一訴訟が発生した場合に備え、損害賠償金や訴訟費用をカバーする保険を契約することで、役員の経済的リスクを軽減します。[2]
  • 内部統制の強化: リスクマネジメント体制を整備し、不正や過失の発生を予防します。
  • サポート体制の確立: 役員・職員が法的問題や課題(疑問)に直面した際に専門家から支援を受けられる体制により、リスクに対する予防となります。

これらの取り組みを通じて、外部理事・外部監事が安心して就任できる環境を整えることは、法人のガバナンス向上とリスク管理の強化にもつながります。

次に、外部理事や外部監事が負う具体的な責任について詳しく見ていきます。

外部理事・外部監事に求められる義務と責任

外部理事や外部監事は、公益法人の健全な運営を監督し、ガバナンスを強化するために重要な役割を果たします。

しかし、その役割に伴い、法的な責任を含む具体的な義務を負うことになります。

以下は内閣府の資料「公益法人の役割と責任」で説明されている理事・監事の義務と責任です。これらの義務と責任は外部理事・外部監事にも当てはまるものです。
項目背景色付き+枠線付き(スマホ横スクロール) はタブレット以上のサイズでのみ編集可能です
(実際の公開ページではタブレットサイズ以下で横スクロールが表示されます)
役職
主な義務等
主な責任
理事
  • 善管注意義務
  • 忠実義務
  • 競業及び利益相反取引の制限
  • 社員総会・評議員会における説明義務
  • 監事に対する報告義務
  • 法人に対する損害賠償責任
  • 第三者に対する損害賠償責任
監事
  • 善管注意義務(理事と同じ)
  • 理事会への出席義務
  • 理事会への報告義務
  • 社員総会・評議員会の議案等の調査・報告義務
  • 社員総会・評議員会における説明義務(理事と同じ)
損害賠償責任や刑事罰等。いずれも理事と同じ。
見出し ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。 ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。

外部理事・外部監事に求められる役割

外部理事・監事は上記に掲載した義務と責任を負います。
そして、そのうえで以下のような役割が期待されます。

1.専門的アドバイスの提供
外部理事や外部監事は、法人内部の人材では得られない専門的な知識や経験を活かして、意思決定をサポートします。法人によって異なりますが、例えば財務、法律、リスク管理といった分野でのアドバイスが期待されます。

2.監視・チェック機能の強化
ガバナンス強化の一環として、外部の視点から法人運営を監視し、内部の不正や不備を未然に防ぐ役割を果たします。そして、公益法人としての信頼性を保つ役割が期待されます。

3.ガバナンスの透明性向上
外部役員の参加は、意思決定プロセスの透明性を高めることにつながります。結果的にステークホルダー(受益者、寄付者など)の信頼を確保するのに寄与するでしょう。

外部理事・外部監事が負う損害賠償責任について

外部理事・外部監事が役員として通常期待される注意義務を怠り、それによって法人や第三者に損害を与えた場合、損害賠償請求の対象となる可能性があります。

訴訟を招くキッカケの例
法的責任を問われるきっかけとなる状況は、以下のようなケースが考えられます。

●情報不足による誤った判断
外部理事・外部監事は、内部の運営状況に精通していないため、十分な情報を得られないまま意思決定を行うリスクがあります。これが損害発生の原因となった場合、責任を問われる可能性があります。

●ガバナンス強化による責任追及の厳格化
改正公益法人法の施行により、法人の運営におけるガバナンスが厳格化され、役員としての監督責任が求められています。
このため、外部役員も内部役員と同様の法的責任を負う可能性があります。

●職務上の過失や監督不備
外部役員が業務上の過失があった場合、直接的な法的責任に加えて法人やステークホルダーからの訴訟を招くことがあります。

外部理事・監事が安心して職務に専念するための「役員賠償責任保険」

外部理事や外部監事を確保するためには、安心して就任できる環境を整備することが大切です。

その中の一つとして、訴訟リスクや損害賠償リスクへの備えがあります。

役員賠償責任保険とは何か

役員賠償責任保険は、役員が理事・監事等が、その業務を怠ったり、その職務について悪意・重大な過失により損害賠償請求を受けた際に、賠償金や法的費用を補償する保険です。

この保険は、役員が安心して業務を遂行できる環境を整えることで、積極的に運営に関与をしていただくなど法人全体のガバナンスを強化するために重要な役割を果たします。

外部理事・外部監事が安心して就任し、役割を果たすためのリスクマネジメントの一環として役員賠償責任保険も選択肢の一つとなります。

役員賠償責任保険のお役立ち情報を提供中

役員賠償責任保険について、より詳しく知りたい方のために、資料をご用意しました。以下の2つの記事をPDF形式で無料ダウンロードいただけます。

※ご用意したpdf資料は『公益・一般法人オンライン』に掲載された記事をpdf化したものです。

1. 役員賠償責任保険Q&A

1. 役員賠償責任保険Q&A
公益法人、一般社団・財団法人の理事や監事、会計監査人などの役員が、業務上の過失や法的責任を問われるケースが増えています。そうしたリスクに備える手段のひとつが 「役員賠償責任保険(D&O保険)」 です。

本記事は、「役員賠償責任保険」に関するよくある疑問にQ&A形式でわかりやすく解説しています。

✔ 保険契約時の必要な手続き
✔ 見落としやすい契約内容のポイント
✔ 更新・終了時の注意点
など、役員や法人の管理職が押さえておくべき情報を多数掲載。

役員賠償責任保険の導入を検討中の方や、すでに契約しているものの 「本当にこの内容で問題ないのか?」 と不安を感じている方にオススメです。

2. 役員賠償責任保険が必要な法人・不要な法人

2. 役員賠償責任保険が必要な法人・不要な法人
公益法人、一般社団・財団法人の役員にとって、任務懈怠やガバナンス違反による損害賠償リスク は避けられません。
近年、役員が損害賠償請求を受けるケースが増加し、多くの法人がリスク管理の一環として 「役員賠償責任保険(D&O保険)」 を検討しています。


本記事を監修された弁護士 梅本寛人氏が
✔ 役員の責任とは何か?
✔ 賠償責任が生じる具体的なケース
✔ 役員賠償責任保険が「必要な法人」と「不要な法人」の違い
など実務に即した視点で詳しく解説した記事です。

「役員のリスクに対する適切な備えを知りたい」
「保険料負担とメリットを比較して最適な判断をしたい」
「本当にこの保険が必要なのか?」
このようなお悩みがある方にオススメです。
記事執筆:全国公益法人協会 広報企画部 新田圭佑

記事監修:梅本寛人先生

【プロフィール】
「シェアコモン200」相談顧問。
平成17年弁護士登録。令和4年1月より文部科学省・学校法人制度改革特別委員会委員。著書に「最新社団法人・財団法人のガバナンスと実務」(中央経済社)など。公益法人、一般社団・財団法人の監事、顧問も数多く務める。
  
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本記事監修者 石川先生が解説する
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本記事の監修をいただいた元内閣府公益認定等委員会常勤委員の出口正之先生による、”公益法人法改正による影響”を解説するセミナーを開催致します。

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本記事の企画者について

全国公益法人協会

財団・社団を半世紀以上にわたり多面的に支援。
1967 年に創立し、半世紀以上にわたり長年蓄積した知識・経験によって財団法人・社団法人の会計税務や 法人運営などを多面的に支援しています。
公益法人、一般社団・財団法人への社会的なニーズが高まる一方、規範意識の高まりや厳格さを増す法令・ガバナンスにより、法人が抱えるリスクは年々増大しています。
私たち全国公益法人協会は、未然に問題を察知し、皆さまの顧問チームとなってそれらのリスクを最小化いたします。
法人が安心して公益活動に専念できるよう支援し、公益活動の活発な社会の実現を目指します。

公式サイト https://koueki.jp/